この再現記録は、私が受験した実技試験(2016年6月5日)の様子を私の記憶に基づき再現したものです。なお、面接試験において私が行った回答は、必ずしも正解とは限りません。誤りが含まれている可能性もありますのでご了承ください。

 

試験問題をまだご覧になっていない方は、以下の再現記録をお読みになる前に、試験問題をお読みください。

本番の試験を受けるつもりで試験問題を読み、ポイントを整理してから、以下の再現記録を読むようにして下さい。

そうじゃないと、もったいないです!

せっかく私が作成した記録ですので、どうか有効に使ってください!

 

さて、いよいよ当サイトのメインイベント、面接試験・再現ドキュメントのはじまりはじまり~!

 

 

 

PART1

 

(ノックをして、ドアを開ける。)

 

【受験者】失礼します。

 

中に入ると、面接官は2名。二人とも中年男性。うち一人が私に質問をし、もう一人は書記の役割をしているようだった。

 

【受験者】○○と申します。よろしくお願いいたします。

 

【面接官】はい、よろしくお願いいたします。どうぞおかけください。

 

【受験者】失礼します。(着席する。)

 

【面接官】それでは早速ですがお伺いいたします。問題文をお読み頂いたと思いますが、この相談のポイントを挙げていただけますか?

 

【受験者】はい、まずはAさんから長男への事業承継、つまり株式の移転をどのように行うかという点、次にAさんの遺産分割をどのように行うか、特に長女Cさんの住居をどうするかという点ですね、そして最後に教育資金の贈与とジュニアNISAについてです。

 

【面接官】はい、それでは長男への株式の移転についてはどのようにするのが良いのでしょうか?

 

【受験者】はい、非上場株式の納税猶予の特例を利用して長男へ移転させるべきと考えます。この制度を利用することによって発行済株式の3分の2までの株については、贈与税が全額納税猶予されることとなります。ただ、その前に株価の引き下げ策を講じておくべきと思います。

 

【面接官】そうですね。では、株価引き下げ策とは、具体的にはどのようなものがあるのか教えてください。

 

【受験者】Aさんへの退職金の支給、配当金の引き下げ、不良債権の処分などによって引き下げが可能です。

 

【面接官】はい、ではX社の社宅を長女Cさんの住居とするためには、どうしたら良いと思いますか?

 

【受験者】AさんがX社から社宅を買いとるのが良いと考えます。社宅の時価は土地と建物を合わせて13千万円です。AさんはX社に1億円の貸付金がありますし、さらに退職金も1億円が支給される予定となっています。このため、貸付金及び退職金の合計額のうち13千万円分をX社の社宅と相殺することで、所有権をAさんに移転します。(小規模宅地の特例の説明まで一気に行おうと思ったが、面接官が口を開きかけたのが見えたので、あえてここで止めた。)

 

【面接官】はい、では、Aさんに所有権が移転したあとに相続が発生した場合、相続税の評価はどうなりますか?

 

【受験者】長女CさんはAさんと現在同居していますが、Aさんの相続発生後にも相続税の申告期限まで居住しており、さらに保有もしているのであれば、小規模宅地の特例が適用されます。その結果その住居の相続税評価額は8割減となります。

 

【面接官】その場合、適用面積はどうなっていますか?

 

【受験者】居住用の小規模宅地の特例の適用面積の上限は330㎡です。X社の社宅はちょうど330㎡ですから、すべて適用できます。

 

【面接官】はい、ありがとうございます。ところで長男Bさんには株式、長女Cさんには自宅を相続させることとした場合、次女Dさんへの相続はどうするのがよいとお考えですか?

 

【受験者】そもそも前提としてAさんの意向を確認する必要がありますが、私は賃貸アパートを次女Dさんに相続させるのがよいかと思いますが…。

 

【面接官】なるほど。しかしその案の場合、相続人間の公平性という点で問題はないでしょうかね?

 

【受験者】Aさんの財産を見ると、株や不動産が多いので、完全に公平な分割は難しいと思います。そこで遺産分割に際して争いが生じないよう事前に話し合っておくとともに、遺言書を残しておくことをお薦めしたいと思います。また、金庫株を活用して相続人の間に不満が出ないように調整すべきと考えます。

 

【面接官】そうですね。ところで金庫株についての課税はどうなっているのか教えていただけますか?

 

【受験者】まず、譲渡した株に対応する資本金等の額と取得価額との差額については譲渡所得として20.315%が分離課税されます。さらに譲渡価額が、その株式に対応する資本金等の額を超えている場合、その超えた金額は配当所得として課税されます。そしてこれは総合課税となります。

 

【面接官】それは相続前でも相続後でも同じでしょうか?

 

【受験者】いいえ、相続前と後とでは異なります。今申し上げたのは相続前の場合のお話です。相続開始後の場合、相続税の申告期限から3年以内に金庫株としてX社に譲渡した場合は、みなし配当課税はありません。譲渡益がある場合はすべて譲渡所得としての分離課税となります。また、相続税の取得費加算も適用できますので、金庫株を利用する場合は、相続開始後に行った方が税制上は有利となります。

 

【面接官】はい、ありがとうございます。では次に教育資金の贈与についての特例について説明してください。

 

【受験者】直系尊属から子や孫の教育資金に充てるために贈与した金額は、一定の要件に該当すれば1500万円まで非課税となる制度です。

 

【面接官】受贈者の年齢の制限とかはありますかね?

 

【受験者】はい、受贈者の年齢は30歳未満とされております。

 

【面接官】では受贈者が30歳に達した時点で、教育資金として贈与された財産に残額があったらどうなりますか?

 

【受験者】その時点での残額に対して贈与税が課されます。

 

【面接官】では次にジュニアNISAについてご説明頂けますか?

 

【受験者】はい、ジュニアNISAとは、直系尊属がその子や孫のために投資口座を開設し、毎年80万円までの投資金額に係る譲渡益と配当金が非課税になるというものです。

 

【面接官】資金の引き出しについて制限はありますか?

 

【受験者】はい、その受贈者が3月末において18歳の年の直前の年末までは、資金の引き出しは原則としてできないこととなっております。

 

【面接官】では、最後にFPの職業倫理としてどのようなものがあるか項目を列挙して頂けますか?

 

【受験者】はい、顧客利益の優先、守秘義務、アカウンタビリティー、インフォームドコンセントの4点になります。

 

【面接官】今回の相談において特に重要になるのはどの点でしょうか?

 

【受験者】顧客の理解を確認し、きちんと説明をしながら同意を得る、つまりインフォームドコンセントが重要であると思います。

 

【面接官】はい、それでは面接は以上です。ご苦労様でした。

 

【受験者】ありがとうございました。

 

※過去のネット情報によると、面接試験の制限時間終了前にアラームが鳴るらしいが、私の場合は鳴らなかった。終了時間をチェックしたわけではないが、恐らく私の面接時間は、12分間よりも早く終了したものと思われる。

 

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